真空用語解説(真空技術関連)
- 漏れ、リーク Leak
- 真空技術においては、容器の両側に圧力または濃度差があるとき、器壁の一方の側から他方の側へ気体が通り抜ける現象を言います
このときの気体の通り抜ける器壁の孔をさすこともあります。 - リーク量 Leak rate
- 漏れる気体の流量をいいます
一般に、容器内が十分低圧で外側が1気圧のときに漏れる空気の流量で表示されます
量記号 QL 単位記号 Pa・m3・s-1 - リークディテクター Leak detector
- 真空装置の漏れの存在、その場所及びリーク量を調べるための装置
- 探索気体 Tracer gas,Serch gas
- 漏れの孔の存在を知るのに利用される気体であって、漏れ孔を通った後、それを特定の漏れ探し器で検出します。
- 漏れ探し法、リークテスト Leak test
- 漏れの場所を探す方法
加圧法と真空法があります。 - 加圧試験法 Pressure testing
- 検査しようとする容器内に圧力を加えて探索気体を詰め込み、漏れ孔から出てくる気体を検知することによって漏れ探しをする方法
- 真空検査法 Vacuum testing
- 検査しようとする容器を真空にし、その外面に探索気体をあて、容器内に入った気体を検知することによって漏れ孔を探し出す方法です。
- ヘリウムリークディテクター Helium leak detector
- 探索気体にのみ応答するように調整された質量分析計
探索気体として通常ヘリウムが用いられるのでこの機器をヘリウム漏れ捜し器と呼んでいます。 - 気密 Air tight
- 与えられた仕様による漏れ孔がないこと
- バルブ Valve
- 流体の流量を制御したり、または完全に止めたりする装置
普通は本体、ボンネットおよび軸の三要素からなります
ニューマチックバルブは圧空で作動するバルブであり、遠隔操作が可能です
電気で作動する電磁弁(ソレノイドバルブ)なども自動化された真空装置に使用されております - バルブ本体 Body of a valve
- 流体の外から入る口と、外へ出る口のついているバルブの部分
- ポート Port
- バルブの本体内にある可変開口であって、それを通ってバルブの入口から出口へ流体が流れます
真空系を構成する部分の入口または出口にある開口であってそれを通して気体が流れます - バルブシート(弁座) Seat of a valve
- バルブポートの周囲にあって、流れを止め、気密封にするための本体側の面
- ディスク Disk of a valve
- バルブシートを押さえつけてポート部を通る流体の流れを止めるための円盤状のもの
- 軸 Stem of a valve
- バルブの開閉にあたって外部からディスクに運動を伝えるバルブボードを開閉する部分
- ボンネット(ふた) Bonnet of a valve
- バルブ軸が外部から中へ通っているバルブの一部であって本体に固く取り付けてあります
- ボンネットガスケット Bonnet gasuket
- ボンネットをバルブ本体に取り付けるとき、その間に入れて気密を保たせるガスケット
- パッキング付きバルブ Packed of a valve
- バルブ軸とボンネットとの間にパッキンを入れて軸がボンネットを通り抜けるところにおける気密を保たせるようにしたバルブ
- 高真空バルブ High-vacuum valve
- 高真空領域において系の間に圧力差があって使えるようにしたバルブです
バルブの漏れの速度と離脱ガス速度との和が初期到達圧力とバルブの開放時のコンダクタンスとの積の1/10より小さくならなければならない - パッキングなしバルブ Packless valve
- バルブ軸とボンネットとの密封がパッキング付きバルブのように固体間の滑りによらず完全な密封を行っているバルブ
ベローズバルブ、隔離バルブなどがこれに属します - ベローズバルブ Bellows sealed valve
- バルブ軸の気密がベローで保たれているようなバルブであって、この一端は軸のディスク側末端に、他端はボンネットまたは本体のいずれかに取り付けられる
- 隔膜バルブ Diaphragm valve
- 薄い可撓性円板の周囲がバルブ本体とボンネットとの間で締め付けられ、ボンネットと軸の両方のところで漏れが無いようにしたバルブ
可撓性薄膜が用いられているので上下に動かせます - バタフライバルブ Quarter swing valve , Flap valve ,Butterfly valve
- バルブ・ディスクをシートに対して90度回転させることによって、開閉が行われる機構のバルブです
回転軸がディスクの縁近くにあればフラップ・バルブと呼ばれ、回転軸がディスクの近くを通っていればバタフライバルブと呼ばれます - バッフルバルブ Baffle valve
- バルブを開けたとき開口から流れがディスクにまともに当たるように向いていて、ディスクがバッフル(じゃま板)の役も兼ねているバルブです
- ゲートバルブ Gate valve
- ディスクがボードに平行な面内に動くことができ、通常ボードが入口と出口の開口と同軸にあるバルブ
- ガスケット Gasket
- 取り換えのできる真空封じ装置であって、通常輪状金属またはエラストマ(ゴムなど)からなり、フランジその他これに類するものの間に用いられます
- パッキング Packing
- 回転軸その他の可動部分と装置部との間隙につめて気密を保たせるものです
- Oリングガスケット O-ring gasket
- 断面が円形で、全体が円形のガスケット
真空装置に多用されており、エラストマはバイトン(フッ素ゴム、200℃まで使用可能)とネオプレン(二トリルゴム、80度まで)が代表的なものです
メタルはメタル中空Oリング、ヘリコフレックス(コイルスプリング内臓、メタルOリング)などがあります - Vリングガスケット V-ring gasket
- 断面がV字型のガスケット
- Lリングガスケット L-ring gasket
- 断面がL字型のガスケットで、ベルジターまたはフランジなしの管の外側や下側の縁に被わせて用いられます
- 平板ガスケット Flat gasket
- 平板材料から切り出したガスケット
- シートガスケット Seat gasuket
- バルブを閉じたとき、ポートを気密封じするガスケットです
- ガスケット封じ Gasket seal
- 気密を封じようとする部分の間にガスケットを入れ、それを圧縮して気密を保たせること
- ハーメチック封じ Hermetic seal
- 非常に敏感な漏れ捜し器
たとえばヘリウムディテクターをもってしても漏れ孔が検出されないような封じ方法です - 回転真空封じ Rotary vacuum seal
- 回転軸が真空系に入るところで漏れのないようにした封じ
- 磁性流体封じ Magnet fluid seal
- 回転封じの一種で、軸に近接した磁極間に磁性体の超微粒子を分散させた溶媒が束縛され、これによりシールされています
- ガラス対金属封じ Glass-to metal seal
- ガラスが直接金属に溶着した真空気密封じ
- コバール封じ Kovar seal ,kovar-einschmetal
- コバール(鉄、ニッケル、コバルト合金)をガラスに封じ込んだガラス対金属封じ
- 真空グリース Vacuum grease
- 蒸気圧の低い(通常10 ~ 2Pa 以下)グリース
- 補助真空側配管 Fore line
- 主動ポンプと補助ポンプとの間の連絡を切ることができるために補助真空側配管途中に入れてあるバルブ
- あら引き配管 Roughing valve
- あら引き配管途中に設けてあるバルブであって、真空槽とあら引きポンプとの間を断ちたいときに用います
- ベローズ Bellows
- 周期的に口径を変化させた薄肉厚(金属)管です
可とう性を持っており、振動収縮の吸収、配管作業のの簡便化、軽量化などに用いられます
成型、溶接、電着などにより製造されています - 継手 Joint
- 配管接続に用いられております
大口径に用いられているフランジ型やクイックカップリング型、小口径では、食い込み型、メタルガスケット型などあります - フランジ flange
- 管や装置、部品の接合などに付けられた帽子のつばのようなものです。ガスケットを挟み込んでボルトで締め付け、気密を保持するのです
- コンフラットフランジ Con flat flange
- ナイフエッジの先端が金属ガスケット(通常無酸素銅)に食い込みシールされるメタルシール方式のフランジ
ベーキングが可能で、超高真空に多く用いられております - クイックカップリング Quick coupling
- 従来のフランジ接合よりも取扱いが容易であるクランプ型の継手です