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第6800号 常圧蒸留装置火災事故 (非高圧ガス事故)

事故事例集より
常圧蒸留装置火災事故 (非高圧ガス事故)を
ご紹介致します。

事故発生日時
2020年5月26日(火)
事故発生場所
大分県大分市
事故発生事象
火災
事故発生原因
リスクアセスメントの機能不全
物的被害
主蒸留塔、ストリッパーおよび周辺機器
事故の概要
常圧蒸留装置の主蒸留塔は、定修期間中に重質軽油段
(以下、「HGO 段」という)の規則充塡物(以下、
「パッキング」という)の更新作業を行っていたが、
夜間に同段付近の内部から火災が発生し、塔が倒壊
した。
事故発生原因の詳細
(1) 主蒸留塔の構造
主蒸留塔は、1972 年に建設され、当初塔内にトレイ(棚板)
が設置されていたが、2000 年に性能改善を目的として一部
のトレイをパッキングに変更した。この変更に伴い、液捕集
器(以下、「コレクター」という)、ダウンパイプ、ディス
トリビューターが設置された。破断した部位は、HGO 段の
パッキングより上部のディストリビューターが設置されてい
る空間部分であった。
(2) 過去の定期修理工事
2008 年の定期修理工事で、HGO 段のパッキングの一部が
発熱により損傷するトラブルを経験した。再発防止策とし
て塔内散水方法を見直し、設備停止後から塔内作業開始前
までは昼夜連続して塔内散水し、塔内作業開始後は工事を
していない夜間に塔内散水することを定めた。塔内散水は
軽質軽油段(以下、「LGO 段」という)の上部にあるコレ
クターに水を供給して、LGO 段と HGO 段を湿潤し、冷却
する。2008 年以降の定期修理工事では、発熱のトラブル
はなかった。2018 年に LGO段のパッキングの更新工事を
実施したが、上記の方法で問題なく行われた。
(3) 調査結果
・火災原因物質
火災前に搬出していたパッキングの空隙部からスケールを
採取して、成分分析と発熱・燃焼試験を行った結果、2008
年から 2020 年の運転で堆積した硫化鉄類と重質炭化水素
を火災原因物質と特定した。
・散水調査
ディストリビューターなしで、ダウンパイプのみで塔内散水
するテストを行った結果、水の分散面積は塔断面積の 25%
程度に留まり、塔壁面まで水は分散せず、散水が不十分で
あったことを確認した。
・変形調査
胴板は東側(倒壊側)が圧縮による変形を受けていた。東側
胴板が加熱により膨張したが、壁面温度の低い西側から拘束
を受け、圧縮応力が働き、座屈したと考察される。
・燃焼シミュレーション
スケールの堆積が西側に偏重した条件で燃焼シミュレーション
を行った結果、スケールの堆積が少ない東側のパッキング上部
において燃焼が進み、壁面温度が上昇することを確認した。
これはスケールの堆積が少ない東側に空気の流れが偏り、燃焼
が進むためである。
・倒壊シミュレーション
東側 180~240°範囲の壁面が加熱された条件で、有限要素法
によるシミュレーションを行った結果、壁面温度が約 900℃
以上になると高温側に倒壊することを確認した。
(4) 直接要因
・ディストリビューターを撤去したため、塔内散水が全面に行
き渡らず、硫化鉄類を含むスケールが部分的に乾燥して酸化
反応を引き起こし、発熱した。
・塔、パッキングの空隙部に堆積していた硫化鉄類と重質炭化
水素を含むスケールが、硫化鉄類の酸化発熱で温度が上昇し、
燃焼した。
・アラーム鳴動後、塔内散水を再開したが、ディストリビュ
ーターがないため燃焼部位とシェル内壁に水が届かなかった。
(5) 管理的要因
次の事由により、リスクアセスメントが不十分であった。
・工事開始の一か月前にリスクアセスメントを実施したが、
各部門が個別に認識していた以下の情報が共有されず、プロ
セス安全の観点でのリスクに気付かなかった。
運転部門: 硫化鉄スケールの発熱防止のため、工事中を除き
塔内散水が必要
技術部門: ディストリビューターはパッキングへの均一な
液分散のために必要
工務部門: パッキング搬出前にディストリビューターは解体
撤去
・これまでの定期修理工事で問題なかった経験を過信し、また
硫化鉄スケール火災により短時間で蒸留塔が倒壊する知見が
不足していたこともあり、リスクアセスメントの検討が不十分
だった。
事業所側で講じた対策(再発防止対策)
(1) 設備的対策
・工事中は、パッキング上面に温度計、ガス検知器などを仮設
して、異常を早期に検知できるようにする。
・工事中は、塔内に散水設備を仮設するなど、防災対策を講
じる。
(2) 管理的対策
・技術、工務、運転の各部門の知識と情報を共有するために、
組織横断的なリスクアセスメントを実施する。
・工事過程で機器の状態と安全対策機能が変化することも考慮
したリスクアセスメントに改善する。
・本事故の教訓、並びに海外を含む所内外の事故トラブルの教
訓を含めたガイドラインを作成し、網羅的にリスクを抽出
する仕組みに改善する。
教訓(事故調査解析委員会作成)
・リスクアセスメントにおいて、発熱反応というハザード状態
を経て、火災というハザード状態に至るハザードとして、異物
のうちで腐食生成物が特定されている。腐食生成物の代表が
酸化鉄、硫化鉄である。
・硫化鉄の発熱を認識していながら、リスクアセスメントに
より有効な対策を図ることができなかった。現行のリスク
アセスメントをハザードの特定という出発点から見直す必要がある。

高圧ガス、低温機器、真空機器
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ニュース
<レンジャーズ3-5エンゼルス>◇15日(日本時間16日)
「2番投手兼DH」で先発したエンゼルス大谷翔平投手(28)が、
6回2失点で6勝目を挙げ、8回にはリーグトップを独走する特大
の22号2ランを放った。


天気 くもり時々晴れ
温度 29℃(PM3:00)
ボンベ庫温度 朝24℃ 昼28℃ 夕30℃
弊社 太陽光発電総発電量 4.8kwh


埼玉県のPM2.5観測地点  14μg/m3(さいたま市城南)
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(エレクトリカル・ジャパンElectrical Japan(PM3:00)より)
北海電79%、東北電77%、東京電83%、中部電82%、北陸電82%
関西電86%、中国電78%、四国電78%、九州電85%、沖縄電65%
利根川上流域の関東ダム貯水率は?
06/16  15:00  449,368千m3   81.5%   201.52m3/sec
(利根川ダム統合管理事務所河川情報より)
(藤原・相俣・薗原・矢木沢・奈良俣・八ッ場・下久保・草木および渡良瀬貯水池)

*Twitter世界トレンドより
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西野亮廣氏ブログ
 ツイッターの新機能「Twitter Blue」の可能性にニヤニヤしている

厚生労働省発表
日本のコロナワクチン接種後の状況
 2,059人死亡

副反応報告
製造販売業者からの副反応疑い報告
2021,02,17~2023,03,12
重篤 26,363人


厚生労働省人口動態統計

死亡数増減
2016年死亡1,312,019人 前年比 17,188人増
2017年死亡1,352,198人 前年比 33,186人増
2018年死亡1,374,765人 前年比 22,567人増
2019年死亡1,393,917人 前年比 19,152人増
2020年死亡1,384,544人 前年比 9,373人減
2021年死亡1,452,289人 前年比 67,745人増
2022年死亡1,582,033人 前年比 129,744人増
2023年死亡 438,983人 前年比 16,946人増

ワクチンロット番号別死亡者数
(厚生科学審議会接種後被害報告事例より)

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