水素の歴史 Part2
水素が世の中でどのように見つけられたかを前回ご紹介いたしました。
今回は、水素を利用した気球のお話しです。
水素を発見したキャベンディッシュの話しを、フランスの物理学者ジャック・シャルル
が知ると、空気の 1/15 (15分の1)しかない水素の軽さに着目します。
水素の密度は他の元素と比べて最も小さく、1500Lの水素の重さは 135g
しかないことから、上空へどんどんと上っていこうとしますし、重いもの
でも上空へ持ち上げる力があります。1783年には、これを気球に役立てよ
うと考えたのが、熱気球で上昇していたガスを水素ガスにするというもの
でした。
水素を充填した気球での初飛行は約2時間に及びました。この成功から
1793年フランス軍は軍事転用して空から敵の位置を把握する目的で、水素
の製造開発を始め、翌年には水素気球を中心にした空軍を組織したのです。
その後も軍事目的でフランス革命や皇帝ナポレオンも戦争で使用します。
更には、1861年アメリカの南北戦争で敵情視察目的で利用されました。
この戦争中にドイツ人のフェルディナント・フォン・ツェッペリンが従軍していました。軍隊
を退役した後、気球を前進させたり操縦したりできるような飛行船の設計
に着手し、1900年にはドイツで葉巻型の飛行船を開発し、第一次世界大戦
の際には飛行船でイギリスを爆撃しました。戦後、豪華な旅としてヨーロッパ
とアメリカを数日で横断する交通手段となります。
その頃の飛行船は、全長247m、最高速度130km/hr にもなり、累計1200
人もの乗客を載せたそうです。そして1937年飛行船ヒンデンブルグ号に悲劇が
襲います。大西洋横断後、係留しようとした際に火災となり乗員35名が亡
くなってしまったのです。燃え上がった船体は、一瞬で爆発炎上と共に水
蒸気で満たされたそうです。実際に水素の危険性を知識として知っていた
ようですが、水素に代わるヘリウムガスの入手が困難なため、水素ガスを
使用し続けたのだそうですが、この事故により有人飛行船の利用は現代に
なるまで敬遠されたのです。
現代、広告宣伝用に東京都心や都市部を中心に飛行船が飛んでいますが
この充填されているガスは、爆発しないヘリウムガスになっています。
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2010年11月3日 水曜日
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by との