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水蒸気分子

超高真空に立ち上げる過程で、室温のチャンバー(容器)を
真空排気した時に、最後の最後まで残るのはほとんどが
水蒸気です。あとの残りは水素や一酸化炭素です。

超高真空に到達させるためにはこの残留している水蒸気を
いかに排気するかがポイントになるのです。

チャンバーを真空排気していくと、初めは調子良く真空度が
上がっていきます。しかし、ある一定の領域まで行くとサチッ
てきます。いくら時間をかけて排気しても真空度が上がらない
のです。これは、チャンバー内の表面から脱ガスしているガス
分子をゆっくり排気している状態だからです。そこでベーキング
という処理が主に水蒸気に対して有効になります。

真空排気されるチャンバーを構成部品が耐えられる温度まで
焼き出しするのです。超高真空バルブなどカタログスペックで
400℃まで。ゲージやセンサーヘッドなどものによっては200℃
が限界の製品もありますので、ぎりぎりまでベークアウトします。

すると、残留ガス分析計でモニターすれば、ベーク前、多くの
水蒸気と水素、一酸化炭素が存在しますが、ベーク中一度到達
した真空度の二桁落ち程度の真空度で落ち着いていたものが
ベークアウトを終了し、常温にお戻した時点では一気に超高真
空領域まで到達します。また、この時の分圧は水蒸気が見事に
消えているのです。

チャンバーの表面は、ステンレス製であれば酸化鉄と酸化クロム
が薄くても五ナノメートル以上あり、この層に水蒸気分子が吸着
しているのです。だからこそ表面を平滑な吸着しにくい処理をする
ことが重要であり、せっかく追い出した水蒸気分を金属表面にまた
水蒸気を付着させない為に大気解放などは厳禁なのです。

ベークアウトは、水蒸気分子をチャンバーから排気する作業なのです。

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