ナイトラスオキサイド N2O
自動車レースでより早いトップピードを求めるために、あるガスとガソリンを
インテーク内(エンジンへの空気取り込み口)に強制的に噴射することで
ターボエンジンやスーパーチャージャーエンジンの様な過給状態を作り出し
そのガスをエンジン内に噴射して燃焼冨化状態が続いている間だけパワー
アップを可能にする装置があるそうです。
あるガスとは?
亜酸化窒素(N2O:Nitrous oxide)です。
どんなガスでしょう?
常温では比較的安定していますが、約500℃以上になると
分解して酸素と窒素になるので酸化剤の役割を果たします。
2N2O = 2N2 +O2
650℃以上に加熱しますと分解し、窒素酸化物の蒸気を生成して
火災や爆発の危険があります。
無水亜硫酸、無定形ホウ素、ホスフィンエーテル類、アルミニウム
ヒドラジン、フェニルリチウム、炭化タングステンと激しく反応し、火災や
爆発の危険があります。
アンモニア、一酸化炭素、水素、硫化水素、その他の燃料と
爆発性混合物を形成する反応が起こります。
※日本国内の適用法規
・高圧ガス保安法
・大気汚染防止法(第二条自動車排出ガス、第二有害物質)
・労働安全衛生法(令第十八条の二名称などを通知すべき有害物)
・船舶安全法(危規則第三条危険物等等級2.2高圧ガス)
・航空法(規制第百九十四条危険物高圧ガス)
・港則法(規則第十二条危険物(高圧ガス)
安全なガスでしたら、ここまで法律は規制しないと思います。
さらに・・・
装置に使用する亜酸化窒素ガスは専用ボトルに充填して車載し使用するそうで
容器容量2L〜10Lのガスを1レースですぐに消耗するそうです。
当然のことながら空になった容器は、交換か材料ガスを再充填することになります。
海外メーカー製容器がシステムメーカー国内販売店より販売されておりますが、割高
なため、国内仕様のガスボンベを購入しそのボンベから車載用容器に移し換える
「移充填」を行うことがあるそうです。
この「移充填」は、法律上では高圧ガス製造所資格を有する
事業所でなければ作業をできません。
一般消費者が高圧ガス容器から高圧ガス容器へとガスを移し換える作業は
高圧ガス保安法(法律)で原則禁止されております。
参考説明
「 製造 」
※一般的に、製造とはある原料から物を作り出すことをいうが、高圧ガス
保安法において下記のような「製造」の定義があるので注意を要する。
高圧ガスの「製造」の定義
法第五条
高圧ガス保安法でいう「製造」とは、高圧ガスでないガスを高圧ガスにする
ことや、CE(コールドエバポレー タ)のように、液化ガスをガス化し液面を
加圧して液化ガスを送り出すことも「製造」となる。
1.圧力を変化させる場合
a)高圧ガスでないガスを高圧ガスとする
例:圧縮機(コンプレッサー)による昇圧
b)高圧ガスをさらに圧力の高いガスにする
例:圧縮機による昇圧
c)圧力の高いガスを、1MPa以上の圧力の低いガスとする
例:減圧弁による降圧
d)高圧ガスである液化ガスを、ポンプ又は気体によりさらに加圧する
例:ポンプによる昇圧
2.状態を変化させる場合
a)気体を液化させ、その液化ガスが高圧ガスである場合
例:冷凍機の中の凝縮器による圧縮ガスの液化
b)液化ガスを気化させ、気化したガスが高圧ガスである場合
例:送ガス蒸発器による液化ガスの気化
3.容器に充てんする場合
例:大容器から小容器への移充填
補足説明
移充填の取扱いについて
従来は、容器から容器への移充填(ポンプ等を使用せず、流し込みにて充填)
は高圧ガスの製造として取り扱われ、所定の移充填量を基に処理量を算出し、
通常では第1種製造者とされていました。
ところが、最近になって経済産業省見解として、「移充填は高圧ガスの製造であるが、
処理設備なし(処理量ゼロ)として取扱い、移充填のみの事業者は第2種製造者となる。」
とされたようです。(各都道府県庁にて判断に相違がありますのでご注意ください。)
以上より、移充填により自動車燃料を充填する簡易オートガススタンドは、第2種製造者
(処理量30Nm3/日未満)として取扱われることになる場合がございます。
※恐縮ながら、上記法の解釈につきましてはガス供給会社様や都道府県へ直接お問い
合わせいただけますようお願いいたします。
以上を踏まえ、消費者自身の自己責任において法令を遵守した上
ガスの物性などを熟知した上で毒性ガスであるN2Oガスをご利用
いただきますようお願いいたします。
高圧ガスのご相談は、川口液化ケミカル株式会社まで
ご相談ください。
TEL 048-282-3665
よろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
今日の格言
女性にとっての人生観とは?
「暖炉から降りる間に、女は七十七の胸算用」
(ロシアのことわざ)
女性がどんなに優れた働き手であるかを称えた言葉である。
寒い国のロシアでは、寝床が暖炉の上にあったのだろう。
暖炉から降りるとは、目覚めてから寝床を離れること。
寝床から起き出す僅かの間にも、女たちは一日の家事のこと
や何かをあれこれ心を配り、何をどうしようと考え
手順を誤りなく胸に収めてから働きだすのです。
N2Oガス 製品安全データーシート(MSDS)
製品名 一酸化二窒素(N2O)
物質の特定
化学名 : 一酸化二窒素(別名:笑気ガス、亜酸化窒素)
含有量 : 99.9%以上
構造式 : N2O
分子量 :44
CAS番号 :NO,10024-97-2
NIOSH : NO,QX13500000
国連分類 : クラス2.2 標札Fg
国連番号 : 1070
危険・有害性の分類
種類 : 高圧ガス、支燃性ガス
危険性 : 100% 一酸化二窒素雰囲気内へ知らずに入り、呼吸すると
瞬間的に窒息状態になり気絶、窒息死することがある。650℃
に加熱すると分解してNoxの蒸気を生成し、火災や爆発の危険をもたらす。
一酸化二窒素の充填容器が高温に加熱されると分解爆発を引き起こす
可能性がある。
有害性 : 麻酔作用があるものの、細胞毒性はないとも言われている。高濃度の吸引
では30秒程度で意識が消失し、酸素不足による窒息の危険性がある。
応急処置
皮膚に付いた場合 : 液状の亜酸化窒素が皮膚に付いたときは、毛布などで暖めるか
温水に付けて凍傷を防ぐとともに医師の手当てを受ける。
目に入った場合 : 直ちに流水で15分以上洗顔し、医師の手当てを受ける。
吸引した場合 : 直ちに汚染されていない大気中に移し、安静、保温に勤め、新鮮な空気
を吸わせるか酸素吸入を行う。
火災の措置
消化方法 : ガスの元弁、容器用弁などを締め、火災場所へのガスの供給を停止する。
容器がさらに火災にさらされると内圧が上がり破裂する危険があるので
できる限り、容器を安全な場所に移動する。
必要に応じ散水し、容器を冷却する。
一酸化二窒素は支燃性ガスであり、可燃性ガス蒸気と爆発混合ガスを形成
する恐れがあるので十分注意すること。
消化剤 : 粉末消火器、炭酸ガス、水(周辺火災にあわせる)
漏洩時の措置
: 容器のバルブを締めて漏れを止める。漏れが止まらないときは、開放された
危険性のない場所に運び、付近の火気、可燃性が無いことを確かめた上で放出する。
取り扱いおよび貯蔵上の注意
取扱い : 高圧ガス保安法に準拠して作業する。
換気の良い場所で使用すること。また、火気の近くでは絶対に使用しない。
容器の粗暴な取扱いはしないこと。また、容器を移動させる場合には必ず
バルブ保護キャップを装着する。
ガスを容器から取り出す場合には必ず減圧弁(圧力調整器)を用いる。
容器は圧力を若干残した状態で使用を止め、絶対に大気圧以下(負圧)にしない。
容器は、ガス漏れの無いことを確認した後、バルブのキャップを取り付け返却する。
万一容器を転倒したり、強くぶつけたりした場合は、漏れ検査を行う。
貯蔵 : 高圧ガス保安法に準拠して貯蔵する。
充填容器、残ガス容器のいずれであっても貯蔵所に保管する。貯蔵所の周囲には火気、
引火性、発火性物質を置かない。
容器は40℃以下の温度に保ち直射日光に当たらない換気良好な乾燥した
場所に保管する。容器はロープや鎖などで転倒を防止し保管する。
容器は熱源や着火源から離し、可燃性ガス容器および燃えやすいものと一緒にしない。
暴露防止措置
許容濃度 : OSHA PEL 規定なし
ACGIH勧告値 50ppm(90mg/m3)
NIOSH REL TWA 25ppm
設備対策 : 室内作業場で使用の場合は、換気設備を設けること。
保護具 : 空気呼吸器、保護めがね、保護手袋
物理的・化学的性質
外観 : 無色の気体
比重 : 1.530(0.1Mpa 25℃)
融点 : -102.3℃
溶解度 : 水に対し 129.7cm3/100cm3(O℃ 1atm)
その他 :支燃性
臭気 : なし
沸点 : -88.5℃
蒸気圧 : 3.171 Mpa(O℃)臨界温度36.5℃臨界圧力7.265Mpa
危険性情報(安定性・反応性)
引火点 : なし
発火点 : なし
燃焼範囲 :支燃性
安定性・反応性・室温では極めて安定で化学的に不活性
300℃付近より解離がはじまり600℃でほぼ完全に解離し高温では
強力な酸化剤となる。
有害性情報
人体影響 : 麻酔性、少量の吸引で病的興奮、酸素なしで吸引すると窒息する。
毒性データー : TCL0 5%/4hr(ラット) TCL050%/24hr(ラット)
輸送上の注意
高圧ガス保安法に準拠して輸送する
容器には転倒、転落などによる損傷を防止する措置を講ずる。
容器輸送には専用の車両により行う。
使用済み容器(空容器)を集荷するときは、容器全般について弁保護
キャップおよびガス取り出し口金具を完全に装着する。
周囲に可燃性のものを置かないようにする。
廃棄上の注意
単純窒息性があるので屋外換気の良い場所か放出廃棄設備を利用し放出する。
可燃性ガスおよび燃えやすいものがある場所では、廃棄しない。
廃棄した後は容器弁を閉じ容器の転倒および容器弁の損傷を防止する措置を講ずる。
容器の廃却は容器所有者が法規に従って行うものであり使用者が勝手に行ってはならない。